饭店的停车场停满了汽车。(ホテルの駐車場は自動車で一杯になった。)
という文では、文頭は場所を表す「饭店的停车场」、また、動作主「汽车」が文末にあり、通常の中国語文と語順が異なるので、戸惑われる方も多いと思います。この文は「存現文」の「存在文」という、特殊な文法によって成り立っています。。
存現文とは「文頭で場所・時間を示す語句を用い、ある場所・時に存在、出現または消失する人・モノを説明する性質を持ち、かつ、主語を持たない文」と定義されます。
存現文の種類は、
- 存在文
- 隠現文
に大別され、さらに隠現文には、
- 人・モノの出現に関するもの
- 人・モノの消失に関するもの
の2種類があります。
存現文の基本構成は以下のとおりです。なお、存現文は主語を持たない点が大きな特徴ですが、述部動詞の動作主は目的語の名詞になります。
■副詞的付加詞のポイント
・場所や時間に関する名詞または句が副詞的付加詞として機能する。
・副詞的付加詞は述部動詞を前置修飾する。
・存現文の場所・時間に関する副詞的付加詞は必ず文頭に置かれる。例えば、
(正)桌子上摆着很多礼物。(誤)很多礼物摆着桌子上。
(正)下午三点运来了很多大米。(誤)很多大米运来了下午三点。
・「在」や「从」は場所・時間に関する副詞的付加詞の前では使えない。例えば、
(正)火车上装着很多照明装置。(誤)在火车上装着很多照明装置。
(正)前面来了一个行人。(誤)从前面来了一个行人。
(正)早上五点就走了一同学。(誤)在早上五点就走了一同学。
・場所名詞と時間名詞は併用が可能である。例えば、
(正)我们班上个星期来了一位新老师。
(正)明年10月这个地方要搬走几家商店。
■述部動詞のポイント
- 概要
・存在、出現、消滅を意味する動詞が存現文の述部動詞になる。
・述部動詞は後に補語を取る。
・存現文の否定形が作るには「没有」を述部動詞の前に付与する。
- 述部動詞のポイント詳細
1.存現文の述部動詞は、何かの位置または何かの位置の変化を扱う動詞に限定される。
(1)存在を示すのに用いられる動詞
A 静止状態にある人・モノの姿勢・状態を参照する動詞(坐,站,睡,贴,躺,,,)
B モノを置く動作を参照する動詞(放,挂,摆,种,写,,,)
(2)出現を示すのに用いられる動詞
A 来,出,起,出现,,,
B 単純方向補語を伴う動詞:上(来)、下(来)、进(来)、出(来)、起(来)
C 複合方向補語を伴う動詞:来、走(出来)、開(过来)
(3)消失を示すのに用いられる動詞:死,消失,丢,掉
(4)次の動詞は出現または消失を示す。
A 単独使用時は消失を示す。他家跑了一只鸡。队里走了一个裁判。
B 方向補語と一緒に用いる時は出現または消失を示す。(例)后边跑来一个小伙子。刚才开过去一辆汽车。
2.人・モノの位置または位置の変化に無関係の動詞は、存現文における述部としては使えない。例えば、吃,喝,洗,扫,谈,看,想,懂,听,爱,喜欢,怕,恨,哭,笑,知道,明白,送,还,借 etc.は、存現文の述部動詞に使えない。
- 述部動詞と補語
・存現文の述部動詞の後には、方向補語と結果補語のみが現れる。例えば、
上个月搬来一个漂亮的女。(単純方向補語「来」)
楼上掉下来一个人。(複合方向補語「下来」)
十一点半开过去一辆摩托车。(複合方向補語「过去」)
我们公司转走一个同事。(結果補語「走」)
・その他の補語は存現文で使うことはできない。
■アスペクト不変化詞のポイント
・アスペクト不変化詞「着」は、存在を示す述部動詞の後で使われ、人・モノが静止状態にあることを表す。例えば、
(正)隔壁住着一位奇怪的邻居。
(正)墙上挂着一幅美人画。
(正)桌子上摆着金匣子。
(正)房前屋后种着几棵枣树。
・なお、「着」を使う際、副詞「正」「在」が述部動詞を修飾することはできない。
(誤)墙上在挂着一幅美人画。
(誤)桌子上正摆着金匣子。
・アスペクト不変化詞「了」は、出現または消失を示す述部動詞の後に付加できる。例えば、
那家餐厅来了不少客人。
昨天下午走了很多旅客。
・アスペクト不変化詞「过」は、存在または出現を示す述部動詞の後に付加できる。例えば、
他们家乡种过这种西瓜。
她的腿上出过一些黑点儿。
■目的語のポイント
・存在、出現、消失する人・モノの名詞が目的語となる。
・数量詞が目的語を前置修飾する。
・存現文の否定形では、数量詞や指示詞による目的語の前置修飾を必要としない。例えば、
(正)小学门口没停着车。(誤)小学门口没停着一辆车。
(正)前面没开来卡车。(誤)前面没开来那辆卡车。
■参考文献:「外国人实用汉语语法 A Practical Chinese Grammar For Foreigners」 华语教学出版社 SINOLINGUA 李德津 程美珍