お気楽Mickの中国語・韓国語学習日記

独学で中国語と韓国語を勉強しています。

【中国語】「很」の修飾対象となる品詞

「很」の修飾対象となる品詞について書きます。副詞「很」は、程度が高いことを示し、「とても、非常に、大変」を意味します。その主な修飾対象は以下の5種類です。

 

(1)形容詞の前に用いて形容詞を修飾する。

  • 这个课堂很大。(この教室はとても大きい。)
  • 大学考试很容易。(大学入試はとても簡単だ。)
  • 她很漂亮。(彼女はとても美しい。)

(2)その後に動詞を伴う助動詞「会」「能(够)」「可以」等を修飾する。

  • 她很能干。(彼女は大変仕事ができる。)
  • 她很会做菜。(彼女は料理が上手である。)
  • 这确实很可以搞笑。(これは確かにとても滑稽だ。)

(3)感情・心理・認識・評価・状態等を表わす動詞を修飾する。

  • 他很想去美国。(彼はぜひアメリカに行きたい。)
  • 我很喜欢看电影。(私は映画を見るのがとても好きである。)
  • 大家对你很感兴趣。(皆があなたにとても興味を持っている。)
  • 我对古代文物很感兴趣。(私は古代の遺跡に関心がある。)

(4)「動詞+目的語」を修飾する。

  • 他们很受欢迎。(彼らはとても歓迎を受けた。)
  • 那家餐厅很有人气。(そのレストランはとても人気がある。)
  • 这一系列数据很说明问题了。(この一連のデータは問題をよく説明している。)
  • 我是个很讲原则的人。(私は原則を非常に重んじる人間である。)

(5)数量目的語を伴う動詞(句)を修飾する。数詞は「一」「两」「几」に限る。

  • 他很去美国旅游过几次。(彼は何度かアメリカに観光旅行に行ったことがあります。)

 

各用法の1番目の例文の句構造を自作Pythonプログラムで分析し、以下(ROOT(IP~))の結果を得ました。また、これら句構造の樹木図をSyntax Tree Generator (mshang.ca)で作成しました。なお、Syntax Tree Generator使用時には、( )を[ ]に置換する必要があります。

自然言語処理における統語構造の注釈を付与するPenn Treebankでは、RBとはAdverb(副詞)を指し、JJとはAdjective(形容詞)、ADVPはAdverb Phrase(副詞句)を指す、と定義しています。また、DTはDeterminer(決定詞)、NNはNoun(名詞)、DPはDeterminer Phrase(決定詞句)、PRPはPronoun Phrase(代名詞句)、NPはNoun Phrase(名詞句)、VPはVerb Phrase(動詞句)と定義しています。

 

(1) 这个课堂很大。

(ROOT (IP (NP (DP (DT 这) (CLP (NNB 个))) (NP (NN 课堂))) (VP (JJ 很大)) (. 。)))

「这个课堂很大。」の句構造樹木図

 

(2) 她很能干。

(ROOT (IP (NP (PRP 她)) (VP (ADVP (RB 很)) (VP (JJ 能干))) (. 。)))

「他很能干。」の句構造樹木図

 

(3) 他很想去美国。

(ROOT (IP (NP (PRP 他)) (VP (ADVP (MD 很想)) (VP (VV 去) (NP (NNP 美国)))) (. 。)))

「他很想去美国。」の句構造樹木図
(4) 他们很受欢迎。

(ROOT (IP (NP (PRP 他们)) (VP (ADVP (RB 很)) (VP (VV 受) (NP (VV 欢迎)))) (. 。)))

「他们很受欢迎。」の句構造樹木図

 

(5) 他很去美国旅游过几次。

(ROOT (IP (NP (PRP 他)) (VP (ADVP (VV 很去)) (NP (NNP 美国)) (VP (VV 旅游) (AS 过) (QP (CD 几) (CLP (NNB 次))))) (. 。)))

「他很去美国旅游过几次。」の句構造樹木図

 

本ページ冒頭にて、「很」は副詞であると書きました。しかし、上記の句構造分析において「很」が副詞(RB = Adverb)と分析されたのは「(2)她很能干。」と「(4)他们很受欢迎。」においてのみでした。

「(1) 这个课堂很大。」においては、「很」は「大」と結合し、「很大」という形容詞(JJ=Adjective)として分析されています。

また、「(3) 他很想去美国。」においては、「很」は「想」と結合し、「很想」という法動詞(MD)として分析されています。

さらに、「(5) 他很去美国旅游过几次。」においては、「很」は「去」と結合し、「很去」という動詞(VV)として分析されています。

 

私は、このように、人間が人力で行った品詞分解が、自然言語処理による句構造分析結果と一致しないという事態は、それ自体大変興味深い現象であると考えています。どちらが正しい・正しくないという問題ではなく、自然言語処理による分析結果は人力言語分析において人間自身が気づいていない課題を示唆してくれる一方で、自然言語処理分析におけるエラー(と受け止められる)現象は、コンピューター人工知能において未発達の、人間固有の高度な言語処理能力の一端が垣間見えるからです。