「私は北京に3回行ったことがあります」は、中国語では、
- 我去过三次北京。
となります。
「北京に3回行ったことがあります」は、英語では
- I have visited Beijing three times.
となりますが、こうした英語表現の影響のためか、私は「三次北京」という語順がなかなか腑に落ちず、学習に苦労しました。
池田巧「中国語のしくみ」(白水社)90ページでは、中国語では、'次 ci4'のような動作量・回数を示す動量詞は、基本的に動詞の後、目的語の前に置かれるとしています。
そして、以下のような「ヒトの動作量・回数」と「モノの数量」の平行関係に注目し、説明されています。
- [動作量] '去三次' '去北京' → 去过三次北京
- [数量] '买三个' '买苹果' → 买了三个苹果
このような動作量と数量の平行関係は、英語には見られません。
- I have visited Beijing three times.
- I bought three apples.
なお、上述の池田巧「中国語のしくみ」では、注意点として、動作量を示す文で目的語が '那儿' '他'等の代詞の場合は語順が変わる点を挙げています。
- 你见过几次张平?*動作量'几次'は固有名詞'张平'の前に置かれる
- 我见过他两次。*動作量'两次'は代名詞'他'の後ろに置かれる
ちなみに、公司派他去中国出差两个月(会社は彼を中国に2か月出張に行かせた)。という文において、「出差」と「两个月」を入れ替えることはできません。
先の「去过三次北京」における「北京」は名詞ですが、「公司派他去中国出差两个月」における「出差」は動詞です。また、これら両文の違いは、「去过三次北京」においては「去过」が「北京に行ったことがある回数」を求めているのに対し、「去中国出差两个月」においては動詞「出差」が「中国に出張する期間」を求めているという違いがあるのだと思います。
なお、「我给公司打了好几次电话。」という文では、「我去过三次北京。」と同様、動作量・回数を示す動量詞(好几次)が、動詞(打了)の後、目的語(电话)の前に置かれています。これは「你则是被调到京都,所以是打过几次照面。」「一次也好,我想当一次妈妈。」においても同様です。
- [動作量] '去三次' '去北京' → 去过三次北京
- [動作量] '打了好几次' '打了电话' → 打了好几次电话
- [動作量] '打过几次' '打过照面' → 打过几次照面
- [動作量] '当一次' '当妈妈' → 当一次妈妈
- [数量] '买三个' '买苹果' → 买了三个苹果
今後も類例を発見次第、例文を順次追加していきます。
- 我去过三次北京。(私は北京に3回行ったことがあります。)
- 我给公司打了好几次电话。(私は会社に数回電話をかけました。)
- 你则是被调到京都,所以是打过几次照面。(あなたは京都に転勤されたので、何回かお会いしました。)
- 一次也好,我想当一次妈妈。(一度でいいから、私は一度お母さんになってみたいです。)
- 他今天跑了两趟超市。(彼は今日2回スーパーマーケットに行きました。)
- 昨天老板请我们吃了一顿饭。(昨日、社長は我々に食事をご馳走してくれました。)
- 我们好像在哪里见过一次面。(我々はどこかで一度会ったことがあるようです。)
- 落马官员结过四次婚 常叫女下属谈心。(堕落した役人は4回結婚しており、女性部下に心から話をするように頼むことがよくあります。)
- 我跟他见过两次面。(私は彼に二度会ったことがあります。)