お気楽Mickの中国語・韓国語学習日記

独学で中国語と韓国語を勉強しています。

【中国語】英語文"You can eat whatever you like."との比較から考える「你想吃什么就吃什么。」

「你想吃什么就吃什么。(あなたは食べたいものを何でも食べていいです。)」について考察します。検定試験の作文問題などにもよく出題される疑問詞を使った文ですが、「吃什么」が2回現れ、複雑なため、学習当初は難しく感じました。
この文の構造をよりよく理解するため、この文の深層構造を英文"You can eat whatever you like.(あなたは食べたいものを何でも食べていいです。)"の構造と比較しながら説明します。

 

自作Pythonプログラムで分析したところ、英語文"You can eat whatever you like."の句構造は以下のとおりと分析されました。

英語文"You can eat whatever you like."では「何でも」に相当する"whatever"は1回しか現れませんが、SBAR内では"like"が"whatever"を目的語として取り、"eat"はSBAR全体を目的語として取り結果としてSBARに含まれる"whatever"を取っており、"whatever"は"eat"とも"like"とも関連しています。"whatever"が2つの動詞"eat"と"like"の両方に関連している一方、表層構造には"whatever"は1つしか現れないという事実は、この英語文が抽象化された深層構造を持ち、その深層構造が表層構造に現れるときに"whatever"に関わる構造等が簡略化されることを示唆していると思います。 

 

一方、中国語文「你想吃什么就吃什么。」を自作Pythonプログラムで分析したところ、その句構造は以下のとおりと分析されました。

中国語文「你想吃什么就吃什么。」では「何」または「何でも」に相当する「什么」は2回現れます。また、「想吃」と「吃」はそれぞれ表層構造においても「什么」を修飾しています。

中国語文「你想吃什么就吃什么。」では、英文"eat whatever"に相当する「就吃什么」と 、英文"like whatever"に相当する「想吃什么」の両方が、表層構造に現れていると言えると思います。英語と中国語の両言語において、深層構造においては「何を食べる」(英:"eat whatever"、中:「吃什么」)と「何を好きだ」(英:"like whatever"、中:「想吃什么」)という2つの動詞句は存在するが、中国語では表層構造においてもそれら両動詞句が現れるが、一方、英語では動詞("eat"と"like")のみが表層構造に現れ、これら2動詞と関連する"whatever"は1回しか表層構造に現れない、という点で対照的です。

 

中国語文法の学習上、ここで注意したい点は、英語文"You can eat whatever you like."と中国文「你想吃什么就吃什么。」それぞれにおける、動詞の出現順序です。

すなわち、中国語文「你想吃什么就吃什么。」では「想吃什么(食べたい)」→「就」→「吃什么(食べてもいい)」という順番になっているのに対して、英語文では「can eat whatever(食べてもいい)」が先に現れ、それを後ろから「you like(食べたい)」が修飾する形になっています。

英語文では、2つの動詞("eat"と"like")がwhateverを前側からも後ろ側からも取ることによってwhateverが表層構造には1回しか現れません。これは、ある意味では、whateverの効率的利用という経済性という見方もできるかもしれません。一方、中国語文では「想吃什么(食べたい)」を先に言い、それを「就」が「吃什么(食べてもいい)」につないでいるという見方もできると思います。事態が発生する順序という観点から見ると、むしろ「想吃什么(食べたい)」という思いが先に起こり、それを「就」で「吃什么(食べてもいい)」につなぐ中国語文の方が、事態の発生順序に合致しているという見方もできると思います。

※なお、日本語文「食べたいものを食べてもいい」も、中国語文「你想吃什么就吃什么。」同様、「食べたい」思いが先に起こり、文後半で「食べてもいい」と述べるという点で、事態の発生順序に合致していると言えると思います。

 

疑問詞を使って「Xしたい○○をXしてもいい」という言い方はたくさんあり、以下に中国語文とそれに対応する英語文の例を紹介しますが、いずれにおいても、動詞の出現順序が、中国語文では「Xしたい」→「就」→「Xしてもいい」という順番になっているのに対して、英語文では「Xしてもいいwhateverまたはwhicheverまたはwherever」を後ろから「Xしたい」が修飾する形になっているという点で共通しています。

你想说什么就说什么。言いたいことを言っていい。You can say whatever you want to.

你想看什么就看什么。見たいものを見ていい。You can see whatever you want to.

你想喝什么就喝什么。飲みたいものを飲んでいい。You can drink whatever you like.

你爱哪个就挑哪个。好きなものを選んでいい。You can choose whichever you like.

你要哪个就买哪个。欲しいものを買っていい。You can buy whichever you want.

你想怎么画就怎么画。描きたいように描いていい。You can draw however you like.

你想去哪儿就去哪儿行きたい所に行っていい。You can go wherever you want.

 

なお、以下は唯一の例外で、中国語文・英語文とも、動詞の出現順序が、「Xしたい」→「Xしてもいい」という順番になっていますので注意が必要です。

谁喜欢吃谁就吃。食べたい人が食べたらいい。Whoever wants to eat can.